SHU ITO

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何気ない出発

05/07/2020 by shu0603 3 Comments

大きなスーツケースとバックパックを背負って、ニュージーランドのオークランド空港へと降り立った。両手に2つのスーツケースを持ち空港内を歩く。まるで旅慣れしていない旅行者だ。

普段僕が旅をする時は、荷物を最低限にする。スーツケースを持って旅することも久しくしていなかった。

クルーズ船のスタッフとして働くとなると、6ヶ月の契約で、その間は船に住み込みになる。仕事では普段着慣れないスーツも必要なので、結果このような大荷物になってしまうのだ。

僕はクルーズ船でフォトグラファーをしている。たまたまアメリカをロードトリップしていた時に知り合った友人からこの仕事の紹介を受け、乗船することとなった。まさに”乗り掛かった船”である。

2019年の11月の終わりに前に乗っていた船を降り、1ヶ月日本で過ごした後、次の船に乗るために僕は今ニュージーランドへ来ていた。

たまたま僕は以前ニュージーランドには4年半ほど在住したことがあり、僕にとってこの国は、地球上に存在するどこの国よりも特別な場所だ。

この頃中国で”新型コロナウィルス”の感染者が一気に増えているというニュースが世界を騒がせていた。

僕がニュージーランドに入国したのは2020年1月20日。この時点ではこのウィルスに対しては「中国は大変そうだ」くらいの認識であった。

ニュージーランドでは、アジア人を見ると総じて”チャイニーズ”と呼ぶ人が一部いる。それだけこの国には中国人が非常に多く、アジア人=チャイニーズと捉えるニュージーランド人のことも少し理解出来る。

僕が個人的に体験することはなかったが、中にはアジア人を見ると「わ、コロナだ!」のように悪ふざけ半分でアジア人を中傷する白人の若者の姿も当時は世界中であったそうだ。

そのたった数ヶ月後には、アジア以上に欧米やヨーロッパ諸国で感染が広がってしまったことは皮肉である。

2020年の1月の時点で、時代は大きな変化を迎えていた。

今回僕が乗船する船は、ニュージーランドとオーストラリアを何回か回った後、フィジーやトンガ、そしてハワイなどの太平洋に浮かぶ魅力的な島々を見て周り、メキシコ、アメリカ西海岸、そして北半球の夏が始まる頃には夢のアラスカへと向かう予定であった。

慣れ親しんだニュージーランドから、未開拓地であるアラスカへと向かう航路は、言うまでもなく魅力が盛り沢山で、期待が高まった。

勿論やらなければならない仕事はあるが、お金を貰いながら世界の行ったことのない国々や島々を巡り、朝目が覚めると未知の港に到着している日常は、人生で中々出来ない体験であることは間違いない。

そんな期待を持って、2月1日に船へ乗船した。

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Filed Under: 111 days, Cruise Ship Travel

Comments

  1. nagi satoko says

    08/07/2020 at 3:40 pm

    しゅうくん
    始まりましたね。
    大変な時代の大変な出来事の目撃者になったしゅうくんは
    やはり 伝える人なのですね。

    しゅうくんが見た世界で、で何が起きていたのか 読ませていただいきます。

    日本でも いろいろ起きていたり
    起きていなかったり
    していました。
    自分が 認識した世界を生きているみたいです。
    それをお互いにシェアできることは
    本当に凄いことですね。

    今日も ありがとうございます

    返信
    • shu0603 says

      08/07/2020 at 5:12 pm

      Satokoさん、コメントありがとうございます!
      本当です、こうやって自分の体験なんかを世界中の人とシェアできる時代に生まれて本当に良かったです!
      いつもありがとうございます!

      返信

Trackbacks

  1. 慣れ親しんだニュージーランド | Dream Projection より:
    15/07/2020 4:11 am

    […] 長い間隔離された船での経験を綴るブログ小説、本日は第二弾。第一話をまだ見ていない方はこちらからご覧ください。 […]

    返信

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SHU ITO ( 伊藤 秀海)
宮城県仙台市
1988年6月3日生まれ

日本とニュージーランドで7年間イタリアンシェフとして勤務した後、長年思い描いた夢を実現するため、30歳を目前に写真家に転身。
旅する写真家として国内・国外を旅して巡り、世界の景色と人の文化をテーマに撮影する他、講演活動や観光PRの撮影など、
幅広く活動している。
アメリカのクルーズ船 ”ホーランドアメリカライン”のクルーズ船に
専属フォトグラファーとして乗船。

これまでに40カ国弱の国々へ訪れた。

第二の故郷ニュージーランドで住んでいた町と三島市が姉妹都市であったことをきっかけに静岡へ訪れ、2018年に初めて写真展を開催。

2019. April   初となる写真集 Like No Otherを出版。  
2020. October
 第二弾となる写真集 Just Like Sistersを出版。

隔離されたクルーズの生活

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