写真展開催2週目の月曜日。
文章に残しておきたいと感動したことがあって、久しぶりにブログを書くことにした。
6月2日〜13日まで、静岡県の修善寺という温泉街のTORUSにて開催している写真展『そらの向こうがわ』。
緊急事態宣言中の地域もある中、有難いことに沢山の人が足を運んでくれている。
週明けの月曜日、今年の5月にアコチルというフェスを撮影させて頂いた時に出会った、ミュージシャンのmiya takehiroさんが写真展に来てくれた。
宮さんとはイベントの際、たまたま宿泊したキャンプ場でテントが隣同士だった。
僕は一人だったので、話し掛けて、その夜は焚き火をしながら一緒にお酒を飲んだ。

その日宮さんは遠いところ来てくれて、それだけでも感謝なのに、なんとウクレレを持ってきていて、その場で何曲か歌ってくれた。
アコチルにはHYやPUFFY、氣志團など、自分がまだ学生の頃から有名なアーティストが出演するイベントで、宮さんもその会場で演奏する程のミュージシャンだ。
プロへのリスペクトの気持ちで、楽器を持っていたとしても、軽い気持ちで『一曲歌ってくださいよ〜』なんて言えないし、失礼だと思っていた。けど、宮さんはサラッとバッグからウクレレを取り出して『ちょっと歌っちゃおうかな〜』と言って彼の楽曲を披露してくれた。

その時の嬉しそうに、楽しそうに笑顔で歌う姿に、僕は心を打たれた。
写真家として活動し始めたばかりの頃、カメラを持ってると『ちょっと撮ってよ〜』と言われる事は良くあった。
自分自身もプロとして、そんな人にどう対処したら良いのか、悩んだ時もあった。
プロが自分の技術を無料でバラ撒くべきではないと思っていたし、お金を頂いて撮影を依頼してくれるクライアントにも失礼だと考えていた。
でも、ふとした瞬間に、お金を貰わないと写真を撮らない、というスタンスに違和感を覚えた。
僕は写真を撮ることが何よりも好きで、それで写真家になった。
自分の写真が人を笑顔にして、人に感動を与えて、結果それが自分を、自分の人生をより豊かなものにしてくれる。
そんな生き方がしたかった。
ちょっと写真を撮ってよと言われ、それを断る瞬間、自分も、そして恐らく相手も、良い気分ではなかったと思う。

今は”良い!”と思った瞬間は、迷わず撮るようにしている。
それが仕事でなかったとしても、せっかく撮れた写真は、その本人にデータをプレゼントしている。だって、せっかく良い写真が撮れたのに、自分のパソコンに仕舞って誰にも見られないなんて、写真が可哀想だ。
著作権の意味で自分のロゴを入れた写真を送ると、喜んでもらえて、結果それが仕事に繋がったりもする。
プロなのにお金を受け取らずにやってあげるなんて、プロ失格なのかもしれない。
でも、それ以上に、良い瞬間に出会っているのに、余計なことを考えてその瞬間を逃してしまっては、写真家として失格ではないか。そうなってしまったら、本末転倒だ。
『プロの写真家』に対して、明確なルールや決まりは存在しない。
撮りたい時に撮る。それで良いんじゃないかって思う。だって、写真を撮ってる時が一番幸せなんだもん。
写真展に遊びに来てくれた宮さんが、さりげなく歌を披露してくれた時の表情を見て、口にはしない彼の想いにすごく共感して、嬉しくなった。
改めて、彼との出逢いに感謝した。そして、それを誰かに伝えたくなって、このブログを書きました。
宮さんの歌う楽曲の一つに『森と歌う』という曲がある。
この曲の中にはラララ〜ラララララララ〜という歌詞があって、写真展の会場でこの部分をみんなで歌った時、会場がビリビリと震えた感じがした。
宮さんが言うには、植物は聴こえる音によって成長が変わるらしい。このラララ〜という音の波動は、木や草木を元気にする波動を生み出すのだと教えてくれた。
人間が山を歩けば、草木を踏み荒らしてしまう。だから、せめて音楽で自然に還元したいという想いでこの曲を書いたそうだ。
自然をテーマにした曲で最初に思い浮かぶのは、マイケルジャクソンの『Earth Song』という曲。すごく力強い曲で、傷ついていく自然を代弁するかのように、マイケルが人間に気付いてくれと叫ぶ。そんな曲で、僕の大好きな曲の一つでもある。
対して宮さんの『森と歌う』は、すごく優しい気持ちになれる曲だ。自然に対しても、人間に対しても、自分自身に対しても。
彼の人柄や、優しい性格や表情、森に対しての想いが、音楽に乗って自分の細胞へと流れてくる。
音楽って、アートって、素晴らしい!
この世からアートが消えてしまったら、世界は空っぽだ。
音楽や、目に入るデザイン、絵や写真、器やコップに、感動する料理、他にもたくさん。
これらが無い世界を想像すると、限りなく無に近い、感動も何もない世界。
アートって、実は全ての人間にとって、いや、全ての生物にとって、とても重要で身近な存在なのだ。
それはお金には変えられない程価値のあるもの。
それを仕事に出来ていることは、最高に幸せなんだ。
宮さんの『森と歌う』聴いてみたい人は、このリンクから聞いてみてください!
https://song.link/i/1549185412
写真展は修善寺の温泉街にある『移住者の家 TORUS』にて、6月13日までやってます!

【写真家 伊藤秀海展】- そらの向こうがわ
https://www.facebook.com/events/534322314478691
6/2〜13 @TORUS
10:00-17:00
写真展に合わせたニュージーランドスタイルカフェの出店は日曜限定!
Workspace & Cafe Strobo出店は
6/13 @most 8092
9:00-16:00
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