今日の港はModle。
ナミビア出身のラビが言った。
「ここには何もないんだ。別に降りても何もする事も無いから、俺は部屋でゲームするよ」
”何もない町”ってどういうことだろう?と思って俺は船を降りた。
この町の事を書く前に、軽くホーランドアメリカの船で働くフォトグラファーの大まかなスケジュールをマル秘公開しよう。
7:00~11:00 ギャングウェイ(船から降りてくるゲストに声を掛け、船や景色を背景に撮影をする)
11:00~16:00 自由時間
17:00~22:30 スタジオ撮影&フォトギャラリーで写真販売
こんな感じだ。夜ご飯の休憩を抜くと、大体の港に着く日の労働時間は1日5~6時間程。
ちなみにこの仕事の契約期間は6ヶ月だが、その間休みは一度も無い。
ほぼ毎日このスケジュールの繰り返しで、Sea day(港に止まらず、長距離航海の日)は労働時間が増える。ゲストがどこへも行かず、ずっと船の上にいるので、彼らが退屈しないように様々なイベントやワークショップ、フォーマルナイト、撮影会などが行われる。
これまでブログやフェイスブックで色々な街を紹介したり、写真を撮っては公開して、まるで毎日がホリデーのように思う人もいたかも知れないが、案外労働環境は過酷だ。
俺たちが与えられる4~6時間の自由時間は、休憩時間でもあり、洗濯物や必要品の買い物をする時間でもある。
休みなく働く身として、体を休める事も時には大切で、特に”ここはつまらなそう”と判断すると、スタッフは休憩モードに入る。
そんな中、仕事中もそうでない時も常にカメラを持ち歩き、自由になるとすぐに走って外に出て行く俺は皆からクレイジー扱いされる。笑
話を本題に戻すと、今日の港は多くの人から見て、あまり魅力的に感じない港だった。
朝から小雨が降っていて、人々の表情も暗くなる。限られた時間しかないゲストでさえ、外に出るのに躊躇してしまう。船の上にいれば、カフェへ行ってもレストランへ行っても食事はタダ。プールもあって映画も観れて、カジノやジムもある。
1日くらい外に出ない日があってもいっか、と思うのは自然かも知れない。
町を歩き始めると、空がどんどん晴れていって、あっという間に快晴となった!

そして海の奥を見ると、山々が神々しく輝いてる。
街角には花が咲いていて、木の色も美しい。
灯台を見付けたので、Goproでタイムラプスをセットし、少し昼寝をした。
船の上にいると聞こえなかった、聞いたことのない鳥の声が聞こえる。
ノルウェー語で何を言っているか分からないが、じいちゃんとばあちゃんが楽しそうに会話している。
起き上がってバーに入り、ビールを注文して外の席に座り、インターネットにパソコンを繋げて、書き溜めたブログをアップしたり、写真をアップする。
別に大した事をしたわけじゃない。むしろ、どこにいたって同じ事が出来る事しかしてない。
でも、とっても優雅で幸せな気分だ。
Modle、悪くないじゃないか。
長く旅をしていると、覚え切れない数の村や町を訪れる。その中で”ここはまた来たい!” ”いつか住みたい!”と思わせてくれる不思議な場所に巡り会うことがある。
そう思わせてくれる大きな要因はいつでも
“出会った人・食べたもの・泊まった場所”
の三つ。
そのほかに気温や天候、地形や街の規模が自分の好みとマッチするかも勿論ポイントだが、星の数ほどある中から”ここは自分のお気に入り!”となる場所は、上に書いた三つの事が理由になる事が殆どだ。
例えば俺は大きい街が好きじゃないが、ベトナムの首都ハノイはまた戻って住んでみたいと思った。
ハノイは空気は汚いし大きい街で音もうるさい。
でも、アーティストが沢山住んでいて、変な友達が沢山出来た。夜になると集まって、酒を飲みながら誰かが歌う音楽を聴いて過ごした。飯も美味い。
ただそれだけで、この場所には良いエネルギーが集まってる気持ちになってしまうから不思議だ。
他にも、街には何の魅力も感じなかったが、泊まったホステルをえらく気に入って、滞在を1週間伸ばしたりする事も良くある。
大概そういう場所では良い仲間と巡り合って、感性の近い人達からオススメされた場所やお店に行くと、もうすっかりその土地の虜になってしまう。
もし、あなたの目的地に関してネガティブな情報を聞いたとしても、それを鵜呑みにしないで欲しい。
その場所があなたにとってどんな場所になるかは、そこに着くまで誰にも分からないのだから。

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