SHU ITO

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旅人の年越し

30/12/2018 by shu0603 2 Comments

行きたいと思う所へ移動して、やりたい事を出来る毎日。
自分に指図する人もいなければ、縛られるルールもない、そんな自由な生き方、それが旅人で、旅人の日常はとても楽しい!

けど、時にはこんな事も起こる。

12月30日午後4時。ハノイに向かう4時発のバスを待っていた。泊まっているホテルやホステルでバスを予約すると、大抵そこまで迎えに来てくれるのだが、”4時”と言われて4時ぴったりに迎えが来る事はまずない。

大体5時頃に来ると予想し待っていると、予想通り4時50分に迎えが来た。

が

まさかのバイクだ。しかも大雨。

首をブルブルと横に振って、バイクに乗る事を拒否する。ゴアテックスのジャケットと靴を装着していて、持っているバックパックにも防水カバーをかけているが、下は未防備。これから12時間以上かけてハノイに行く直前にずぶ濡れはごめんだ。

20分抗議した結果、タクシーを呼んでくれて一件落着。この時すでにお腹が空いていて、

『夜ご飯のストップはある?』

と聞くと、スタッフは笑顔で

『もちろん!じゃないとお腹空いちゃうでしょ~』

と言っていたので安心していた。

夜9時の時点で悪い予感はしてきたが、結果トイレ休憩も夕食休憩も無し。。

バスの旅では良くあることだけど、車の中は冷房なのか外気なのか、めちゃくちゃ寒い!運良く自分が今持っている最大限に暖かい格好をしていたが、それでも寒い。
途中、何度か寝かけて”寝相が悪くて落ちた布団をかける”夢を見た。布団をかけると暖かい…。その瞬間、寒さで目が覚める。
お腹も空いているしトイレも行きたいが、立ち上がってドライバーに話しかける元気ももはやない。

何とかハノイに無事到着。
朝の5時で真っ暗だ。変わらず強い雨と風が続いている。

ベトナムでは、長距離バスと街の中心は15分~20分離れている事が多く、今回もマップで調べると、車で予約したホステルまで20分だった。

Grab(東南アジアのUber的なアプリ)を立ち上げるが、全然車が居ない。隣にはしつこく話しかけて来るタクシードライバー。
12時間凍え続け、腹ペコで朝5時だ。まともな精神状態ではなく、きちんとした判断も出来ないまま、交渉してタクシーに乗った。

15分ほど走って急にタクシーは止まり『ここだ』と言う。
GoogleMapで見ると、全く場所が違う。

場所が違うという主張を無視し、ドライバーは$25(2600円)だと言う。

え~~~~~~笑

大晦日に予約した宿は朝食とビール一杯が着いて一泊500円。アプリでは目的地まで150円程だと言っている。

2600円なんて払えるわけがない。

俺『おいお前、話が違うぞ』

ドライバー『2600円です。ハッピーニューイヤー』

俺『2600円は払わないし、こんなの全然ハッピーじゃない!』

ドライバー『今日はハッピーニューイヤーだから、俺をハッピーにしてくれ!』

なんだその言い分は!笑

結果100,000ドン(500円)渡し(それでも多いがもう仕方ない)その場を収めた。
アジアで学んだ事だが、ケンカを売るよりもフレンドリーになった方が、支払額は減る。今回も、100,000ドンでお互いハッピーで済んだ。
降ろされた場所から雨にずぶ濡れになりながら、ホステルまで歩く。

ホステルに無事到着!

 

が…

 

シャッターは閉まっている。

…。

そりゃそうだよね。まだ朝5時半ですから。

とりあえず我慢出来ずに、ホステルの前の大木に小便をして、閉まっているシャッターの前で荷物を置いて座る。

そこに1匹のずぶ濡れの犬が来て、俺が小便をした木の逆側に小便をして、俺の隣に座った。

2018年大晦日、俺のやっている事は野良犬と一緒だ。笑

想像して見て欲しい。

寒さで凍えてもう13時間以上が経過し、最後に食事を取ったのは18時間前。雨は激しくなるばかり。
これも旅人が直面する現実の一つ。

俺の心はこう言っていた。
『俺、ハノイ嫌い』

寒いのもバスやタクシーで起きた悲劇も、野良犬と路上で過ごすこの瞬間も全て、まだ着いて間もないハノイのせいにしたのだ。なんとも立派な大人だろうか。笑

次の瞬間、ハノイは全然悪くないし、何よりも俺はまだハノイの何も知らない事に気付く。そうすると、今まで見えていなかったものが見えてきた。

目の前では小さなお店で、母親くらいの歳の女性が料理の仕込みをしている。

お腹が空いていた事を思い出し、仕込みしている所悪いけど、何か食べ物はないか?と聞くと、無言でスープを出してくれた。

 

 

 

 

 

死ぬ程美味い!!

悴んだ手でスープの器を触ると火傷しそうなくらい熱く感じるが、それすら嬉しい。
ふと横を見ると、ダウンジャケットを着て一生懸命仕込みをしている女性が目に入る。

 

 

 

 

 

『何もしていない俺の手ですら凍えてるのに、作業をしている彼女の手はどれだけ冷たいんだろう』

 

 

 

 

 

この時朝5時50分。
寒い中、こんな朝早くからお店を開けてくれている彼女に、とてつもない感謝の気持ちが湧いてきた。
彼女は英語が話せなかったので、グーグルトランスレーションを使って変換したベトナム語を見せてコミュニケーションをとった。

『ここに来るまですごく寒くて、腹ペコだった。でも、このスープに救われました』

と伝えると、彼女は初めて笑顔を見せてくれた。
その後暖かいお茶も、コーヒーまで出してくれて、俺はお店の中や彼女の仕込む姿をずっと観察していた。

今日は大晦日。

年越しパーティを楽しみにしている人もいれば、誰とどこで過ごすかまだ決まっていない俺のような人もいる。家族や友達がいない人もいるかもしれない。
今夜をどこで誰と過ごす事になろうとも、今日をどんな日にしたいかは決まった。

今日は感謝の日にしよう!

皆さんも良い年越しを!

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Filed Under: 未分類 Tagged With: ハノイ, ベトナム, 年越し, 旅人, 東南アジア, 経験

Comments

  1. 菅原なつき says

    30/12/2018 at 8:26 pm

    小説みたいに情景が想像できるしゅーさんの文章、凄く好きです。笑 いつか本出してください!(本気)笑
    来年もしゅーさんにとって良い一年になりますように。ハッピーニューイヤ〜!

    返信
    • shu0603 says

      31/12/2018 at 2:25 am

      なつき、ありがとう!嬉しい!笑
      なつきにとっても良い年になると良い!また日本でね〜!ハッピーニューイヤー!

      返信

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SHU ITO ( 伊藤 秀海)
宮城県仙台市
1988年6月3日生まれ

日本とニュージーランドで7年間イタリアンシェフとして勤務した後、長年思い描いた夢を実現するため、30歳を目前に写真家に転身。
旅する写真家として国内・国外を旅して巡り、世界の景色と人の文化をテーマに撮影する他、講演活動や観光PRの撮影など、
幅広く活動している。
アメリカのクルーズ船 ”ホーランドアメリカライン”のクルーズ船に
専属フォトグラファーとして乗船。

これまでに40カ国弱の国々へ訪れた。

第二の故郷ニュージーランドで住んでいた町と三島市が姉妹都市であったことをきっかけに静岡へ訪れ、2018年に初めて写真展を開催。

2019. April   初となる写真集 Like No Otherを出版。  
2020. October
 第二弾となる写真集 Just Like Sistersを出版。

隔離されたクルーズの生活

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